1976年にマセラティを買収したデ・トマゾは、それまでのマセラティとは異なる、コンパクトな車体のビトゥルボシリーズ（ツインターボエンジン）を世に送り出しました。222やカリフなどがビトゥルボファミリーの一員ですが、1984年のトリノショーでデビューしたモデルがこのビトゥルボスパイダーです。カロッツェリア・ザガートによって手掛けられたスタイリングを身にまとうビトゥルボ・スパイダーは、ギブリ・スパイダー以来、12年ぶりとなるマセラティのオープンモデルでした。無論、ベースとなっているのは2ドアモデルですが、スパイダーではフルオープン時のスタイリングを最優先に考えられたため、ホイールベースを114mmも短縮し、全長4m強というコンパクトさに仕上げられています。一般的に呼ばれる “スパイダーザガート”というのは、後に付けられた通称のようなものです。インテリアにおいては、ビトゥルボの象徴でもある金時計が輝き、贅沢に使われたウッドとレザーが相まってとてもラグジュアリーな空間となっています。

当販売車両は、弊社が正規輸入した2.8iとなります。スパイダーは黒や赤の個体が多いですが、こちらはダークアクアマリーナという珍しいボディカラーです。写真では分かりづらいですが、ブルーメタリックとグリーンメタリックが混ざった深い海のような美しい色です。そのボディにはナチュラルレザーの幌が組み合わされており、とても上品な雰囲気を醸し出しています。幌は張り替え済ですので、ビニールのリアウィンドウも綺麗な状態です。エアコンも修理したばかりなので、現代のクルマに比べたら劣りますがビトゥルボとしてはしっかり効いています。オープントップにして、夜風を浴びながらV6ツインターボのサウンドに耳を澄ませる。そんな乗り方で楽しんでいただきたい一台です。