戦後間もないイタリアでは、これまでとはまったく異なるスポーツカーが求められていました。そこで、イタリアを代表する自動車メーカーであるアルファロメオは、それまでになかった革新的なジュリエッタをいち早く世に送り出したのです。1954年のトリノ・サロンでデビューしたジュリエッタは、あらゆる面で現代的でありながら、アルファロメオのレーシング・ヘリテージを体現する存在となりました。この点を強調するために、アルファロメオはまず2ドアクーペの「ジュリエッタ・スプリント」を発表し、続いて4ドアの「ベルリーナ」を発表。ベルトーネのフランコ・スカリオーネが手がけたスプリントは、空力的にも非常にバランスのとれたデザインです。華美ではない美しい曲線を持ち、エッジの効いた優美なデザインに仕上げられています。フロントヒンジ付きのボンネットには、アルファロメオが新たに開発した1.3リッター ツインカム4気筒エンジンが搭載されました。アルミ合金製のブロックと半球状のシリンダーヘッドを採用した洗練された新エンジンは、デビュー当時から先進的でその基本設計は40年以上にわたって生産されることとなったのです。こちらの車輛のエンジンは、1300ccからジュリア スプリント の1600ccに改装されています。1300のままを求める方も多いかもしれないですが、現在の交通環境においても充分にドライブを楽しめる一台となっています。